安らかに。エンケ
エンケ生涯最後の試合となった12節のHSV戦を、ブンデスハイライトでもう一度見てみました。
エンケは普通に、おそらくいつも通りにプレーしていました。ファインセーブもあり、わかっていても、とても数日後に自殺してしまう人には見えませんでした。
あるいは、最後だからと心を込めてプレーしていたのか…。
この時すでに彼は死ぬことを考えていたのかどうなのか知ることは出来ませんが、やっぱり、こうして当たり前のようにプレーしている姿を見て、不思議な気持ちになった時、答えの出ない不毛な問いが改めて頭に浮かぶのです。
何故。と。
うつ病だからって何もかも失うわけじゃない、大丈夫、安心して治療を受けていいんだよ、と、そういう風にエンケ自身が思えたら、この悲劇は防げたかも知れないと思うと、かえすがえすも無念でなりませんが…。
今はもう、静かに見送るだけです。
昨日のエンケ夫人の会見の内容とハノーファーでの追悼ミサの詳細が早々と、スポナビにアップされていました。
やはり私のインチキなてきとう訳は細かいところでだいぶ間違えてましたので、よろしければ是非こちらをご覧いただきますようお勧めします。
「ファンに最も愛されたハノーファーの守護神 エンケの突然の死にドイツ中が悲嘆」
いつもはこのコバヤシさんのレポのアップには少し時間のかかるスポナビさんですが、今回のこの素早さと、詳しい内容に感謝します。
ツヴァンツィガー・DFB会長(背中) とエンケ夫人のテレザさん
夫人を慰めるバラックの沈痛な表情が胸に迫ります。エンケとはジュニア時代からの友人だったそうですね…。
3万5,000人のファンがねり歩いたという葬送行列。壮大な眺めです。
あちこちでチラチラ見かける「R.I.P」とはなんのことかと思っていたら、"Requiescat in Pace" ラテン語で「安らかに眠りたまえ」という意味らしいですね。欧米ではよく使われる言葉のようです。(英語の"Rest in peace"でもいいらしい)
このニュースを知った直後は、自ら命を絶ったという事態の重さにただただ動揺し、とてもとても、冥福を祈ったり、安らかに、などという気持ちにはなれなかったのですが、昨日一日いろいろと想いをはせ、読めないドイツ語を読み、少し気持ちの整理をつけ、今ようやく、冥福を祈る気持ちになりました。
さぞ苦しかったことでしょう。お疲れさまでした。
少しゆっくり休んでください。
……少しでいいよ。
時々は降りてきて、ご家族を励ましてあげてください。
貴方の後を継ぐことになるであろうハノーファーのGKを助けてあげてください。でもバイエルン戦の時はほどほどでいいです(笑)。
そして、そして、貴方が参加するはずだったドイツ代表を見守っていてください。困ったときは力を貸してください。待っているから…。
どうぞ、安らかに。
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コメント
ランダムさん、こんにちは
エンケの死、ショックです。
強靭な身体と卓抜した運動神経の持ち主でも、うつ病に勝てなかったという事実を突き付けられました。
というのは、わたしもうつ病です。パニック障害のおまけつきです。
希死念慮なんかしょっちゅうです。
エンケほどの地位の人でもこうなるんだから、社会の底辺のわたしだったら・・・と恐れています。
そういう気持ちって発作的に来るんですよね、前触れなく。
ということは、いつ変な気持ちになってもおかしくないのですから。
かなり動揺しています・・・
投稿: TheBeach | 2009/11/13 03:10
> TheBeachさん
こんにちわ。少し落ち着かれましたか?
エンケ同様、厳しい戦いをしてらっしゃるんですね。
どシロートの私がいい加減なことを言うのは無礼とは承知していますが、うつ病はきちんと治療すれば治る病気だと聞いています。
エンケの場合は、本人が治療を拒んでいたために処置が遅れた末の悲劇だと認識しています。
治りたいという気持ちがあればそれだけでいいのではないかと個人的に思います。どうぞ焦らず、恐がる自分を責めずに、ゆっくり進んでくださいね。
サッカー選手はもちろん一般人よりは体力はあるでしょうが、風邪も引きますしインフルエンザにもかかるしうつ病にだってなります。そこはごく普通の人と変わりないと思いますよ。むしろ、ドーピングの問題があるために使える薬が限られているようなので、病気への治癒力や抵抗力に関しては一般人より弱い面が多多あると思います。
投稿: コリアンダー | 2009/11/13 19:20